いなばのゆるぽ旅

自転車旅を振り返ります

北海道夏合宿前自走1日目(深谷~日光)

大学2年の夏合宿、舞台は北海道、これは自走するしかない

 

【プロローグ:夏合宿の自走】

 夏合宿、弊サークルでは1~2週間程度同じメンバーで全体集合場所を目指して自転車で移動する一大イベントである。集合場所は隔年で札幌と西日本のどこかの都市となっており、昨年1年生の折には神戸から出発し四国を巡ってしまなみ海道を走って広島まで走った。その際も、神戸に集合するために4日間かけて東京から神戸まで自走した。

 当時既にロードバイクは持っていたが合宿に乗っていくのは不安だったので、高校2年の際から愛用しているクロスバイクに合宿装備一式を詰め込んだパニアを装着して合宿に臨んだ。東京から神戸までは国道1号などに沿って行くと600km程度あり、それを4日間荷物を積載したクロスで走るのは非常につらく、何度か心が折れかけたが、同期のT田と当時2年の先輩のT林さんが一緒に走ってくれたのでなんとか完走することが出来た。その話もいずれ書きたいと思う。途轍もなくつらかったが、神戸まで走ったという思い出と自負はずっと胸の中に残っており、今後の夏合宿も必ず自走しようと決めていた。

 

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4日間で600km走ったクロスバイク@甲子園

 

 そんな感じで、今度は後輩を引っ張っていく側となった2年の夏合宿でも自走を決行した。ただし、一緒に走ってくれるアホはいなかったが…

 

【ルートの決定】

 夏合宿本番が、2017/8/11の苫小牧から始まることが決定した。8/2,3にK本と軽井沢周辺を走ることが決まっていたので、8/4を休養日として8/5に出発することにした。6日間の日程は以下のように考えた。

8/5 深谷~日光

8/6 日光~会津若松

8/7 会津若松~山形(磐梯山経由)

8/8 山形~仙台(蔵王経由)

8/9 仙台~盛岡

8/10 盛岡~八戸~苫小牧(フェリー)

 まずスタート地点だが、先日の軽井沢自走で、できるだけ埼玉は走りたくないと考えていたので、まず赤羽まで走って深谷まで輪行することとした(この赤羽まで走って輪行というのは以降私の一人旅の定番となる。)。そして内陸部、山間部をずっと走り続けて仙台まで行き、K本の実家に宿泊。さらに北上して八戸からフェリーで苫小牧に到着という算段だ。6日間で760km獲得標高7,700m、距離短めで獲得標高多めの山岳ルートとなった。

 果たして無事走破できるのか、今回は初日8/5について綴る。

 

【長い夏合宿の始まり】

 サークルの全体集合が2017/8/22だったので、合計18日間の旅となる。自分は合宿が終わった後も本州に戻って日本海側を走ろうかと思っていたので、3週間を超える長旅になるだろう。家にしばらく帰らない寂しさより旅が始まる高揚感が勝っていた。荷物は必要不可欠なもの以外は極力少なめにした。昨年の合宿の経験上、日本を走るのならば道中足りないものが生じたとしても、大抵は近くの町で購入可能だということは分かっていた。(昨年は寝袋を忘れて途中の道の駅で2万円のものを購入した。)パッキングした状態は下の写真のようになった。

 

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合宿装備を搭載したCANYON

 

  初日は深谷まで輪行していくので116kmとそこまで距離も無く、獲得標高は1,200mほどあったが登りもそこまで急ではないため、昼前に深谷を出発くらいで良いだろうと油断していた。そのせいでこの後悲劇に見舞われる。

 

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8/5のルート

 

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赤レンガ模様の深谷駅好き

 

【わたらせ渓谷鐡道】

 10時40分頃深谷を出発。ルート自体は昨年の三田合宿で走ったルートを逆走するだけだったので把握していた。途中そこまで苦しむこともなくとりあえず渡良瀬渓谷の始まり付近まで走る。ここからは渓谷沿いを走るので景色も良くなる。どこか景色がいいところがないか検索してみると、高津戸峡という観光名所が近くにあるらしく早速向かって写真を何枚か撮影した。

 

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高津戸峡①

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高津戸峡②(はねたき橋と読むらしい)

 ここから登りが始まる。渡良瀬渓谷沿いの国道22号はアップダウンを繰り返しながら徐々に標高を上げていく。とても楽しい。川沿いなので道を間違える心配が無いし、右手にずっと渓谷を見ながら走るのはとても気持ちが良い。ロードバイクに乗るようになって渓谷がとても好きになった。ほかにもいくつも渓谷沿いを走ったがその話は別の機会に。

 渡良瀬渓谷には「わたらせ渓谷鐡道」という路線が走っており、その駅のいくつかは無人駅となっている。渓谷沿いの無人駅、良い、好き。列車が来ないときは人もおらず、地面より少し高くなったホームと遠くまで続く線路しかなく、周りは自然に囲まれている。ルートを組むときは渓谷&ローカル線が走っているところを優先して組み込むくらいこの組み合わせは良い。

 わたらせ渓谷鐡道では、特に本宿という駅がお気に入りだ。国道沿いに駅があることを示す看板が出ているが、そこには渓谷に降りていく階段しかない。木々に囲まれた階段を下りていくとホームが突然現れる。線路は一本しかなく、ホームの向こう側には林が広がりその向こうからは川のせせらぎが聞こえてくる。好き。落ち着く。列車が入ってくる写真も撮りたかったが、しばらく来ないようだったし時間にもそこまで余裕はなかったので今回は断念。国道に戻って先に進む。

 

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本宿駅の看板、階段しかない

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階段を下りた先にホームが

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ホームから1枚、雰囲気好き

 

【草木ダムとダム湖

 15kmほど進むとダムが見えてくる、草木ダムだ。ダムも好き。というか橋とかダムとかの巨大建築好き。自然を支配しようとしてる感じ好き。渓谷沿いのダムは横を走る道より低い位置にあることが多く、上からダム湖下流を隔てる道を見るとワクワクする。ダムの上の道は自転車でも走れることが多く、草木ダムも同様である。ダムの上の道は周りが開けていて走っていてとても気持ちいい。

 

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ダムの上の道、好き

 ダムを後にして少し進むと草木橋という真っ赤な橋が現れる。ここめっちゃ好き。昨年秋の三田合宿でこの上からみたダム湖周辺の紅葉はとても美しかった。この橋は湖の水面からはある程度高さがあり、上を見上げても空まで遮るものが無く解放感が凄まじい。明日以降も渓谷沿いに進んでいくので、他のダムも見られたらいいな。

 

画像

木橋から湖を背景に

 

足尾駅

 そこから渓谷沿いのアップダウンを進んでいくと足尾銅山が近づいてくる。銅山周辺には廃墟が多く、いつか探検してみたいとか思っているがどこまで入っていいのか分からなかったり、足尾に来るのは大抵チャリ旅の道中で時間が無かったりとまだ一度も実現していない。廃墟が多いエリアを抜けて足尾駅に到着した。ここもめちゃくちゃ好き。まず駅前のレトロなポスト好き。足尾駅の線路、少し苔むしてて好き。駅舎、レトロな感じで好き。ここからあと少し登ってトンネルを抜けたら今日の登りは終わりだ~。少し休憩して堪能してから足尾駅を後にした。

 

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足尾駅、ポストが良き



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線路は続くよどこまでも

 

【ゴール!かと思いきや…】

 足尾駅から少し登って日足トンネルに突入した。このトンネルは少し苦手だ。2.7kmと結構長く、途中まで登りで途中から下りという傾斜になっているがどこから下るのかわからずなかなかスピードが出なくて余計に疲れる(長いトンネルって登っているか下っているかたまに分からなくなるよね。)。トンネルを抜けたら登りは終了!あとは下るだけじゃ~。と調子に乗って下っていたら、突然ホイールがロックされ制御が効かなくなった。何が起きたか分からなかったが前輪だけでなんとかブレーキを効かせて落車は免れた。後輪を確認してみると、パニアの横にぶら下げていたクロックスがブレーキ部分に巻き込まれていたらしい。まじで死ぬかと思った。ここからはクロックスをキャリアの上に括り付けてスピードを落として安全に下った。

 

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クロックスの削りカスまみれな後輪

 

 日光市に下る途中に「日光和の代温泉 やしおの湯」という温泉があったのでそこで風呂を済ませた。1日が終わる前の温泉、良き。温泉はとても気持ち良かったが、ここで持ってきたシャンプーを置きっぱなしにするという失態を犯した。この時期に気持ちいい冷感シャンプーをわざわざ持ってきていたのでちょっとショック…。

 そして日光駅周辺に到着した。

 

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日光駅、もう日が暮れている

 

 さて調べておいたネットカフェに泊まろうと思ったが、調べてみるとネットカフェが見当たらない。あれ?おかしいぞ?よく調べてみると、出発前に調べていたネットカフェは那須塩原にあるものらしく、日光には無いらしい。仕方がないので調べて出てきたゲストハウスに連絡をしてみたが、どこも埋まっている。どうやらこの日はちょうどお祭りがあったらしく、観光客でにぎわっていてどこのゲストハウスも埋まってしまったらしい。これは困った…。朝もっと早く出ておけばまだ空いている宿もあったかもしれないがもう遅い。あまり高い宿に泊まるのは嫌だったので、結局野宿することに決めた。旅の1日目から野宿とはつらい…。日光の市街地では野宿は難しそうだったので、少し進んで鬼怒川まで行って、結局工事現場の駐車場跡みたいなよく分からない場所にテントを張ることになった。途中テント内にコオロギが入ってきたり、暑かったりで寝られなかったので、近くのコンビニまで行って酒を買ってきて、テントで晩酌をしてアルコールで無理やり眠った。

 

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やけくそ晩酌 in テント

 

 果たして明日以降は大丈夫なのだろうか…。

 

 続く